院試解答研究所

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陽子半径の問題

2009年、natureで今までの陽子半径は間違えている可能性がある、という内容の論文が発表された。
この論文は、Ludwig–Maximilians–University(ドイツ)の
Antognini等によるもので
彼らの測定では、従来の陽子半径よりも4%も小さい、という結果を示した。

なぜこの結果が問題なのかというと、陽子半径が基礎物理定数だからである。
基礎物理定数とは、自然現象を記述する方程式に現れるもので
具体的に定量評価する際、この定数は数値的な量に影響を与える。
例えば基礎物理定数が変わると
いままで自然現象と一致していた計算がずれることになる。
その結果、場合によっては物理を記述する方程式自体を
見直さなくてはいけなくなる。
そのため、基礎物理定数はずれてはならない。
しかし、今回その基礎物理定数が4%もずれたのだ。
これは大きな問題である。

今まで正しいとされてきた陽子半径は、水素原子のLamb shiftの測定結果から決定されていた。
それに対して、彼らはミューオニウムによる陽子半径の計測を行った。
モチベーションはミューオニウムの方が水素よりも半径を厳密に測定できることによる。

この結果が示すのは以下の二つの可能性である。
①実験ミス
②量子電磁力学(QED)のミス

通常、基礎物理定数と異なる場合、実験ミスをまず疑う。
しかし、彼らの測定は2005年に行われ
その4年後にnatureに掲載されたところから
実験については一定以上の信憑性があったと考えられる。
だとすれば、②の可能性が濃厚となる。QEDとは、素粒子論の基礎理論であるため
これがおかしいとなると、それも大きな問題である。
しかし、この問題に関しては現在まであらゆる研究者がそれぞれの解釈を与えてきたが
いまだ人々が納得する答えはでていない。

そんな中、今回この問題の解決に向けて新しい進展があった。
http://scienceportal.jp/news/newsflash_review/newsflash/2014/09/20140922_01.html
これによれば、TRIUMFカナダ国立素粒子原子核研究所は新たに
大量のミューオニウムを生成する方法を開発したようである。
これにより、より精密な実験結果が得られ、少なくとも①、②どちらに問題があるかが明らかになる。

結果が待たれる。
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